【野球肘の予防】外反ストレスに負けない肘を作るトレーニング
次の表は、『平成27年度 少年野球 (軟式・硬式)実態調査 調査報告書』からのデータです。
ご覧の通り、「今は痛くないが前に痛かった」と回答した選手が69.4%と、約7割もの少年野球選手が、これまでに肘の痛みを経験していることが分かります。
この痛みをガマンしながら投げ続けていると、いわゆる「野球肘」と呼ばれるスポーツ障害を引き起こす場合があります。
「野球肘」の症状は一つではありません。また、障害される部位も様々ですので、その病名も様々です。
野球肘は、大きく 「内側型」、「外側型」、「後方型」 に分けられます。
内側型野球肘
小児期(10~16歳)は、肘の骨がまだ成長途中で弱いため、「剥離骨折(はくりこっせつ)」が起こりやすくなります。一方、青年期(17歳以降)では、骨の成長が完了するので、骨に付く「内側側副じん帯(ないそくそくふくじんたい)」の損傷が多くなります。
外側型野球肘
12歳前後の少年野球選手に多く発生します。肘の外側で、上腕骨小頭と橈骨頭が衝突し、骨・軟骨が剥がれたり傷んだりします(離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん))。進行すると、「関節遊離体」(いわゆる関節ねずみ)となり、手術の検討もします。
後方型野球肘
ボールリリースからフォロースルーにかけて、肘の後ろ側で骨同士がぶつかることで骨・軟骨が痛みます。
共通して言えることは、投げすぎ、筋肉の疲労、悪い投球フォームなどによって「投球時に過剰なストレスが肘にかかってしまったために、肘を壊している」ということです。
投球中、肘に最もストレスがかかるのは、「レイトコッキング期」という局面です。
次の図のような瞬間、肘には「外反ストレス」という大きな力がかかります。この力によって、肘の外側で骨同士が圧迫されたり、内側でじん帯がひっぱられたりすることによって痛みに発展するわけです。
この「外反ストレス」を軽減するためには、下半身も含めた全身のコンディションを高める必要がありますが、今回は、その中でも外反ストレスによる「内側型野球肘」を予防するための、セラバンドやバットを使って行う肘周りの筋力強化法を紹介します。
外反ストレスに負けない肘を作るトレーニング
外反ストレスに負けない「浅指屈筋」のトレーニング
外反ストレスに負けない「尺側手根屈筋」のトレーニング
外反ストレスに負けない「橈側手根伸筋」のトレーニング
外反ストレスに負けない「小指と母指の対立」+「回外」
外反ストレスに負けない「ゼロポジションで肘伸展エクササイズ」
外反ストレスに負けない「グルグル・バット回し」
これらの筋肉は瞬発的な筋力発揮というより、持久的な機能を高めたいので、低負荷・高頻度で行うと良いです。それぞれ10回2セットずつくらいから始めてみてください。
外反ストレスに負けない肘を作るトレーニング」まとめ
野球肘の原因は、投げすぎ、筋肉の疲労、悪い投球フォームなどによる「肘関節への過剰なストレス」です。普段から肘まわりのトレーニングを行うことで、外反ストレスに負けない肘を作りましょう。