偏平足の改善方法|扁平足のチェック&トレーニング7選

扁平足の改善方法|扁平足のチェック&トレーニング7選

スポーツでボールを投げたり、打ったり、走ったり、ジャンプするときに唯一地面と接している部分は「足」です。ほとんどのプレーは、足部を介して全身に力が伝わっていきますので、この足部の機能がパフォーマンスアップに大きく影響します。

そこで今回は、足部の機能で最も重要なポイントである「足部3つのアーチ構造」と、そのアーチが崩れることで起こる「扁平足」について、原因やチェックポイント、扁平足の治療の際に行っているトレーニングなどについて紹介したいと思います。

足部の3つのアーチ構造

足の裏には3つのアーチがあります。

それぞれ

  1. 「内側縦アーチ」
  2. 「外側縦アーチ」
  3. 「横アーチ」

と呼ばれますが、なかでも土踏まずを形作る「内側縦アーチ」が重要です。(図1

これらのアーチは、足裏に荷重がかかったときに柔軟にたわむことでクッションの役割を果たします。アーチが崩れると、地面から受ける衝撃が大きくなり、足首だけでなくひざや股関節などにも大きなストレスがかかり、ケガのリスクも高くなります。

(図1

片寄正樹 監修/足部・足関節 理学療法マネジメント/メジカルビュー社より

扁平足(へんぺいそく)とは?

内側縦アーチが過剰に低下すると、土踏まずがない、いわゆる「扁平足(へんぺいそく)」となり、クッションの役割が果たせなくなります(図2)。そのため、荷重を受けたり地面をけり上げたりする行為が負担となり、シンスプリントや足底腱膜炎、外脛骨障害といったケガのリスクも高まります。

(図2

扁平足の原因

内側縦アーチを保持する最も重要な役割を担っている筋肉は、後脛骨筋(こうけいこつきん)です(図3)。

この後脛骨筋が機能不全(はたらきの低下)を起こすことが、扁平足になる主な原因です。扁平足の人の約80%が後脛骨筋の機能不全を起こしていると言われています。

(図3

足のアーチをチェック

足部アーチの過剰低下のチェックは様々あります。ここでは、立っているときの足部のアライメント(骨の位置関係)をチェックする方法を紹介します。

【レッグヒールアライメント】

後方から足部を観察すると、扁平足では足指が多く確認できる。(Too many toes sign)(図4

(図4

【ヒールレイズテスト】

片脚でのつま先立ちを後方から観察する。正常ではかかとが内側を向く(内がえし)。一方、後脛骨筋の機能不全がある場合、かかとは外側を向いたまま上がる(外がえし)(図5)。

(図5

これらのチェックで異常が見られたら、扁平足の可能性が高いと言えます。

足部アーチの低下(扁平足)を改善するトレーニング7選

内側縦アーチの低下を改善するために、後脛骨筋や母指外転筋を鍛える方法があります。

後脛骨筋のトレーニング

【バンドを使っての抵抗運動】

1.片脚を反対側のひざの上に置き、バンドを巻いて、足首の動きで天井側へ上げる(内転運動)(図6

(図6

2.反対側の足部にバンドを巻いて抵抗を加え、足部の内転運動を行う。(図7

(図7

【カーフレイズ】

1.立位で両内くるぶしの下でボール挟み、かかとを上げる(図8)。

(図8

2.片脚立ちで、つま先を30度内側に向け、小指側に体重をかけながら、かかとを上げる(図9)。

(図9

【トゥアップ&ヒールレイズ】

イスに座り、足指を開きながら、かかとも同時に上げる(図10)。

(図10

【ニーアウトスクワッティング】

前に出したひざを外側に向けながら、ひざの曲げ伸ばしを行う。足指が床から浮かないように注意する(図11)。

(図11

【母指外転筋のトレーニング】

片脚立ちで、親指を開いて床を押し、小指を浮かせる(図12)。

(図12

(図13)

扁平足の治療は、運動療法の他にも、足底板(インソール)テーピングなども適宜使いながら行います。

扁平足で足以外のケガも起こる

下の図14のように、足部アーチの低下(足部回内)をきっかけとして、下腿が内側にねじられ内旋し、大腿も内旋します。そして骨盤は前方に傾きます(前傾)。このように運動が鎖(くさり)のように次々と連なっていくことを「運動連鎖(うんどうれんさ)」と言います。

(図14 運動連鎖)

したがって、足部のアーチが過剰に低下し扁平足になると、この「運動連鎖」によって、ひざ関節や股関節にも過剰なストレスがかかってくることがイメージできるかと思います。これが足以外のケガにつながる原因となるのです。

まとめ

扁平足は、足だけではなく、ひざ関節や股関節などへのストレスも増加させ、様々なケガのリスクを高める可能性があります。

何事も足元が大事!

一度あなたの足元もチェックしてみてくださいね。

【参考文献】

  • 神﨑 浩二 監修/スポーツ障害ハンドブック・2019
  • 平野貴章ら/成人扁平足への対応/MB Med Reha・2020
  • 佐竹勇人ら/着地動作における足部内在筋の影響/臨床スポーツ医学・2019
  • 片寄正樹 監修/足部・足関節 理学療法マネジメント/メジカルビュー社・2018
  • 福林徹 監修/足部 スポーツ障害治療の科学的基礎/NAP・2012
  • 小柳磨毅/テーピング アスリートケアマニュアル/文光堂・2010

参考書籍