野球選手に超重要な股関節の機能【屈曲と伸展】の巻

野球選手に超重要な股関節の機能【屈曲と伸展】

股関節は骨盤と大腿骨をつなぐ、身体の中で最も大きい関節です(図1)。

関節の周囲は強い靭帯で取り囲まれています。そのため股関節は人間の約5倍もの重さがかかる荷重関節でありながら、安定性に優れ、最も摩擦しにくく脱臼しにくいという優れた特性をもっています。

ですから、スポーツ選手にとっても特に重要な関節です。

図1

股関節は3次元に動く

股関節は球状の関節で、屈曲、伸展、内転、外転、内旋、外旋 6方向に動かすことが可能です(図2~4)。

図2

 

図3

図4

今回は、このうち「屈曲(くっきょく)」と「伸展(しんてん)」に注目していきます。

股関節の機能をみるテスト

次の2つのテストは、股関節が上手く機能しているかどうかを簡単にチェックする検査です。

ちょっとチャレンジしてみてください。

(参考書籍はこちら↓)

1.立位で行う股関節屈曲テスト(図5)

図5

  1. 立位で、できる限りひざを抱える
  2. 軸足のひざ関節は完全に伸ばしたまま
  3. 立位のポジションを維持したまま、ひざを抱えた手を離す

☆手を離したときに体幹がブレないで、ひざの位置が変わらなければOK

【適切でない動作(図6)】

  • 手を離したとき、ひざの位置が下がる
  • 体幹が丸まる
  • 軸足のひざが曲がる

図6

四つ這いで行う股関節伸展テスト(図7)

図7

  1. 肩関節90°、股関節90°にて、四つばいのポジションをとる
  2. 片側股関節伸展を行う。

☆体幹をまっすぐしたまま、股関節伸展ができたらOK。

【適切でない動作】

・体幹が反り過ぎ(図8)

図8

いかがでしたか?

このテストで適切でない動作になっていたら、あなたの股関節機能は低下している可能性が高いです。

股関節の機能が低下すると、野球の動作がうまくできなくなったり、障害の発生にもつながったりします。

野球のプレーで股関節の屈曲が必要な場面

  • 投球動作:ワインドアップ期での非投球側の脚上げ(股関節屈曲)(図9)
  • 走塁・ダッシュ動作:前脚の引き上げ。いわゆる「もも上げ」の動き(図10)

図9

図10

股関節「屈曲」動作が上手くできないことで、

片脚立ちが不安定になります。片脚立ちが不安定になると、その後の投球動作が乱れ、野球肩や野球肘の発生につながる可能性があります(図11)。

図11

また、走塁やダッシュ動作のときに股関節屈曲(腸腰筋)をうまく使えないと、大腿四頭筋を過剰に使うことになり、大腿四頭筋の肉離れ(断裂)を生じる恐れがあります。

股関節屈曲が適切な動作でできない原因として考えられるのは、

  • 股関節屈筋(腸腰筋)の機能低下(筋力が弱い)
  • 体幹の筋力が弱い(安定性の低下)
  • 股関節伸筋(殿筋、ハムストリングス)が硬い(柔軟性低下)

などです。

野球のプレーで股関節の伸展が必要な場面

  • 投球動作:コッキング期での投球側(後ろ足)股関節の伸展(図12)
  • 走塁・ダッシュ動作: 後足での蹴り動作(図13)

図12

図13

股関節「伸展」動作が上手く動作ができないと起こるリスク

腰椎伸展(腰を反らす動き)が過剰になり、腰椎分離症(野球腰)とよばれる腰の障害につながる恐れがあります(図14)。

図14

股関節伸展が適切な動作でできない原因として考えられるのは、

  • 股関節伸筋(殿筋)の機能低下(筋力が弱い)
  • 体幹の筋力が弱い(安定性の低下)
  • 股関節屈筋(腸腰筋)が硬い(柔軟性低下)

などです。

股関節機能を高めるために行いたいトレーニング

ここからは、股関節の「屈曲」「伸展」の機能を高めるためのトレーニングとストレッチを紹介します。

股関節を屈曲させる筋の強化

腸腰筋(図15)

椅子に腰かけ、骨盤、体幹をまっすぐしたまま片ひざをまっすぐ上げましょう。

(体幹が曲がったり、後ろに倒れたりしないように)(図16

図15

図16

股関節を伸展させる筋の強化

ブリッジ(両脚、片脚)(図17、18)

図17 両脚ブリッジ

図18 片脚ブリッジ

四つばい(股関節伸展+外旋)(図19)

図19

※股関節を外旋(足を外に向ける)しながら、伸展することで、より大殿筋に効きます。

体幹筋の強化

フロントプランク(図20

図20

サイドブリッジ(図21

図21

プッシュアップ(図22

図22

股関節機能を高めるために行いたいストレッチング

殿筋(お尻の筋肉)のストレッチ(図23

図23

腸腰筋(ちょうようきん)のストレッチ(図2425

腸腰筋は、股関節の前に付く屈曲筋です。

図24

図25

腸腰筋とハムストリングスのストレッチ(図26

図26

図26では、左の腸腰筋と右のハムストリングスのストレッチを交互に行っています。

大腿四頭筋のストレッチ(図27)


 

野球選手に超重要な股関節の機能【屈曲と伸展】のまとめ

股関節は「屈曲」と「伸展」以外にも「内転」「外転」「内旋」「外旋」を合わせて6方向、3次元の動きができるため、野球のあらゆる動きに関わる超重要な関節です。

股関節の機能向上が野球スキル向上に直結しますので、ぜひ自身の股関節の機能をチェックして、トレーニングやストレッチも行ってみてくださいね。

参考文献

  • 人工股関節全置換術サポートサイト THAケアネット
  • 渡部賢一ら:ファンクショナルトレーニング 機能向上と障害予防のためのパフォーマンストレーニング.文光堂 2020