【はじめに】
先々月(6月号) の記事の続編で試合当日・試合中の食事の取り方や、食事の種類を紹介していきたいと思います。また、試合後の早期のリカバリーに必要な食事はどのようなものなのかを紹介できたらと思います。
【試合当日・試合中の食事】
試合当日の食事も基本的には「高糖質、高タンパク質、低脂質」が好ましいとされています。
①食事・補食は3時間前に済ませておく必要がある。
・エネルギー源となる主食、果物等糖質を多く含む食品を多く摂る。
・脂分の少ない食事を摂る。もしくは、控えめにする。
・翌朝の出発が早い場合は、前夜までにしっかりと食べる。
・乳製品は控えめにする。
②試合直前に食べるのはNG
・試合直前に摂取した食品からエネルギーや栄養素をが試合中に十分に消化、吸収、利用されることはほぼないと言われている。
・食後の急激な血糖上昇やその後の血糖急下降(低血糖)を招く恐れがある。
食後に上昇した血糖値が空腹状態の数値に下がるまでは約2時間かかると言われている。
③試合と試合の間に糖質を補給する
・次の試合開始時には、食べ物が完全に消化・吸収されているように前の試合が終わり次第エネルギーを補給する必要がある。
次の試合まで2.3時間ある場合:おにぎり、バナナ、カステラなど
次の試合まで2時間未満の場合:バナナ、果汁100%のジュース、スポーツドリンク、ゼリー飲料など。2時間未満の場合は、消化の良いものを選ぶ。
【試合後】
❶疲労回復
・肉体的疲労に精神的疲労が加わり、疲労が大きくなる試合後も、疲労回復を中心とした栄養補給計画を立てることが重要である。
・肉体的疲労には、マッサージなどで筋肉の回復、消化のいい食べ物で内臓の回復を行う。精神的回復で好きな物を好きなだけ食べるのは逆効果で、内臓の疲労が蓄積されるため回復が遅れてしまう。
・試合後は好きなものの中から消化がよく、栄養価の高いものを選ぶようにしましょう。
❷グリコーゲン回復
・グリコーゲンとは、人間の体内で作られる糖質の一種。主にエネルギー代謝に使用され、主に肝臓や筋肉内に含まれている。
・試合前から貯蓄していたグリコーゲンが試合で消費されるため、試合後は速やかに補充しなければなりません。筋グリコーゲンの貯蔵スピードは運動終了後が最も速く、それ以降は徐々に遅くなっていくためできるだけ早く吸収の良い糖質を摂取することが必要である。
・水分補給目的の飲み物ではなく、糖質の高い(濃い)飲み物を選ぶと良いでしょう。
・試合で消費したビタミンやミネラルなどエネルギー代謝に必要な栄養素(ビタミンB群など)が含まれたものを摂取すると回復が促進される。
・長期回復と短期回復
☆長期回復
運動後のグリコーゲンの回復は1日かけるもの。その間の運動は休止する。
食事の際は、糖質を多く含む食品を食べるようにする。
(ご飯、もち、うどん、パン、カボチャ、じゃがいも、オレンジジュースなど)
☆短期回復
平日の練習や長期休みの練習の時(夜練習して、翌早朝練習がある場合)は、運動後にできるだけ早く糖質を摂取する。摂取することにより、筋肉内のグリコーゲンを速く回復させる。また、グリコーゲンのみの摂取だけではなくクエン酸を一緒に摂取する方が筋肉および肝臓グリコーゲンの回復が早いとされている。これは、解糖系(糖を分解する働き)の働きを阻害し、グリコーゲン合成のためにグルコースが利用されるためだとされている。
筋グリコーゲン回復に最も効果的な糖質 | 上から効果的な順 |
ブドウ糖 | グルコース |
ショ糖 | 砂糖 |
果糖 | 果物に含有 |
摂取する糖質量の目安は「体重1kgあたり1~1.2g程度」が目安。
例)体重60kgの選手は、糖質72g必要。
白米100gで糖質が約38gなので、200g食べなければならない。
また。マルトデキストリンといったデンプン(糖質)を粉末状にしたサプリメントなんかもオススメです。
気軽に糖質補給できると思います。
※大量摂取はすると血糖値の急上昇が起こり得る可能性があるため体重×1gを目安に摂取するようにしましょう。
【参考文献・引用文献】
ACCA スポーツ栄養スペシャリスト テキスト
寺田新 東京大学出版会 スポーツ栄養学 科学の基礎から「なぜ?」にこたえる