野球肘・野球肩のメディカルチェック

【はじめに】

野球選手にとって、肩・肘関節障害は多くの選手が経験しており、特に成長期の障害については、メディカルチェック等(野球肩・肘の評価項目)による早期発見の重要です。

そこで、当院でも実際に行なっているメディカルチェックを紹介します。

【メディカルチェックとは】

当院が行なっているメディカルチェックは、野球肩・肘を対象とした検査です。特に、外側の野球肘を早期発見するためのチェックと言って良いほど重要性が高いと言われています。また、肩や肘に負担を増大させる因子として下半身の柔軟性や肩周りの柔軟性もチェックすることで、肩・肘関節障害を未然に防ぐ狙いもあります

【外惻の野球肘の危険性】細かくは図9をご覧ください。

外側の野球肘の正式名称は「離断性骨軟骨炎」と言い、医療現場では「OCD」と英語で耳にすることが多いです。

病態としては、成長期の未熟な骨と軟骨が剥がれてしまう障害です。年齢で言えば、10歳~12歳で最も発生しています。

症状として、初期段階では痛みが出現しないため発見することが難しく、痛みを自覚して発見された頃には保存療法(手術しない方法:リハビリやノースロー期間を設ける)では厳しい状態になっていることがあります。そのため、痛みがなくてもメディカルチェックなどで検査し、手術療法を回避させる必要があります。

【当院のメディカルチェックの方法】

当院のメディカルチェックは

①肩関節の可動域

②野球肩理学所見11項目

③下肢柔軟性

④肘関節評価(ストレステスト、可動域)

⑤関節弛緩性テスト

⑥握力、インナー筋力

上記の6種類をチェックします。6種類の中に項目が、36あります。

今回はこの中から抜粋して、セルフでもできるようなチェックを紹介したいと思います。

①肩関節可動域

3rd(サード)  内旋 「図1」

1の左が開始姿勢で、緑の実線を0度とし、右のように肘を支点とし前腕を下方に脱力させます。

この際に、右肩が上に上がったり、内側に入るような動きが出ないように注意します。

肩関節後方の硬さを見るテストで、主に投球側と非投球側の硬さを比較します

肩関節後方の硬さは、肩関節の前後部分の痛みに付随することが多く、肩の痛みが出現する前に対策を立てる必要があります

②野球肩理学所見11項目

・セルフCAT(肩の後方の硬さを見るテスト) 「図2」

片方の手を横から挙上し、つまり感・引っ掛かり感がある位置で止める。耳と上腕の距離を左右で比較し、距離がある方は硬いと判断する。また左右差を確認します。図2では左肩より右肩の硬さが出現していると言えます。

・セルフHFT(図2と同様、肩の後ろの硬さを見るテスト)図3:左から、左端・中左・中右・右端

上腕を90度挙上し、反対側の肩を触るように操作します。肩のつまり感、硬さ感で止まる位置で左右差を測定し、背面から手の位置を確認し、図3の中右と右端に比べ、手が見えていない場合が左右差があると断定し、硬さがあると言えます。

③肘関節評価

・肘外反ストレステスト 「図4」

両腕を体の前にクロスし、非投球側の手で投球側の親指を引っ張り肘の内側にストレスを加えます。肘の内側に痛みが出現したら、異常とします。

・圧痛(押して痛い場所)所見(肘関節のどこに圧痛所見があるか確認)「図5」

「図6」

5の様に、肘の内側・外側・後方のどちらかに痛みがあるのかを確認し、図6の様に細かくどの部分かを確認する必要があります。

・肘の可動域(肘の曲げ伸ばしができるか)「図7」

肘の曲げ伸ばし(曲げる場合は肩を触れることができるか)ができるかを確認することも重要です。

肘の可動域制限がある場合は、肘に何らかの痛みや炎症を伴っていることがあります。また、変形治癒などで伸びなくなったり曲がらなくなっている例もあります。

 

【野球肘について、自主トレ、メディカルチェックの紹介】

内側型野球肘のセルフストレッチングとトレーニング

野球肘について

メディカルチェックの案内

 

以上のすべてのリンクはこのホームページ内に掲載してありますので、気になる方はご覧ください。

【まとめ】

セルフで肘のチェックや肩のチェックはできるが他者にやってもらうよりも容易なのでこれで必ずしも異常が見つかるわけではないです。

以上の6種類を紹介したが、ほんの一部であり、自分でチェックして異常があったら近医でメディカルチェックを行なっているところなどに診てもらった方がいいかと思います。

【参考文献・引用文献】

1)原著:小松ら5名 大学生野球選手の肩・肘関節障害の状況-入学時メディカルチェックとその後の症状について-日本臨床スポーツ医学会誌:vol31No.1,2023,

2)【令和4年度 北海道医学会市民公開シンポジウム報告】近藤ら7名 野球肘を正しく理解し予防する-成長期~トップアスリートまで- 北海道医誌98(1),2023

3)編著:森原ら3名 パフォーマンスUP!運動連鎖から考える投球障害 診察室からグラウンドまでを繋ぐアプローチ 全日本病院出版会