野球選手における棘下筋の重要性とトレーニング&ストレッチ方法
野球は肩関節に大きな負担がかかるスポーツであり、肩の機能を維持することが重要です。その中でも、肩甲骨に付着する棘下筋(きょくかきん)は、肩関節の安定性と動きにおいて極めて重要な役割を果たしています。
この記事では、棘下筋の役割とそのトレーニング方法について紹介します。より安全で質の高いプレーをするために、棘下筋について理解を深めてください。
棘下筋の役割
棘下筋は、肩甲骨の後面に位置し、上腕骨に付着する筋肉です(図1)。
図1
棘下筋は以下の機能を持っています。
外旋(がいせん)の働き
棘下筋は、肩関節の外旋(肩を外側に回す動き)を担います(図2)。この動きは、ピッチングやバッティングなど、野球において非常に重要です。
図2
肩関節の安定化
棘下筋は、インナーマッスル(回旋筋腱板)の一部として、肩関節を安定させる働きをします。これにより、肩の損傷リスクを軽減します。
減速作用
投球動作のフォロースルー期では、肩関節後部に体重の約90%もの牽引力が掛かると言われています。
棘下筋は、フォロースルー期で強く振られた腕にブレーキをかける役割を果たしているため、とても大きな負荷がかかります(図3)。
この負荷が繰り返されることで、棘下筋は疲労しやすくなります。これにより肩の後部が硬くなり、痛みが出てくることがあります。
図3
投球動作と筋委縮
投球動作は繰り返し行われるため、肩の筋肉には大きな負担がかかります。特に、棘下筋は次のような影響を受けやすいです。
手投げによる負担増加
手投げのフォームは、肩の筋肉に過度のストレスを与えやすく、棘下筋の疲労と萎縮(いしゅく)を引き起こします。萎縮とは、筋肉が正常な状態よりも細く弱くなることを指します。萎縮は、筋線維の減少や筋力の低下を伴い、肩の機能に悪影響を及ぼします。
競技歴と筋萎縮の関連
棘下筋の萎縮は、競技歴が6年以上の選手に多く見られます。競技歴が長いほど、筋萎縮のリスクが高まるとされています。
棘下筋トレーニングとストレッチ
次に、棘下筋を強化し肩の安定性とパフォーマンスを向上させるためのセラバンドを使ったトレーニングとストレッチの方法をいくつか紹介します。
棘下筋のトレーニング
棘下筋のストレッチ
野球選手における棘下筋の重要性とトレーニング&ストレッチ方法のまとめ
棘下筋は、野球選手がベストなパフォーマンスを発揮するために欠かせない重要な筋肉です。適切なトレーニングとストレッチを行うことで、肩関節の安定性を高め、怪我のリスクを減少させることができます。上記のエクササイズを日常のトレーニングに取り入れ、強く安定した肩を手に入れましょう。