
【はじめに】
大腿四頭筋は、下半身の筋肉の中で最も大きな筋肉であり、主に膝を伸ばすことや股関節を前方に曲げる作用があります。投球動作では、①軸足の安定性②振り出し足の安定性(ブレーキ)が主な働きになります。打撃動作では、①スイングスピードをUPさせる役割②スイングを安定させる役割があります。
【大腿四頭筋とは】
大腿四頭筋とは、文字通り4つの筋肉の総称を表します。図1に記載してあるように、大腿直筋・内側広筋・外側広筋、あと一つは大腿直筋と大腿骨の間にある中間広筋の4つの筋肉から構成されます。図2
図1 大腿四頭筋(中間広筋は大腿直筋の下)
図2 大腿直筋と中間広筋
【投球動作においての主な役割】
ワインドアップ期で右投手の場合、右足を軸足として、タメを作るために保持します。その際主に働くのは臀筋と大腿四頭筋となります。図3
図3 ワインドアップ期
図4 アーリーコッキング期~レイトコッキング期
ワインドアップの状態から、踏み出し足が接地するまでをアーリーコッキング期といいます。図4のように並進運動から回旋運動に変わる転換期をレイトコッキング期と言います。
図4のように踏み出し足の膝を軽く曲げた状態で維持するには、大腿四頭筋の出力(筋力)が必要になります。
図5 アクセレレーション期~フォロースルー期
※図5内の①は図4の①になります。
【各フェーズに対する主なトレーニング】
・片足立位パテラセッティング
図6は、図3の状態を維持することを目的とします。
したがって、図6のように、壁に膝の力でボールを押し付けることによって、大腿四頭筋の収縮をさせることができます。
図6 片足パテラセッティング
・ランジ
図7は、図4のアーリーコッキング期~レイトコッキング期に対するトレーニングになります。
今回難易度が比較的低い正面ランジを紹介しています。
・ランジ切り替え片足立ち
図5のアクセレレーションからフォロースルーで、膝を曲げた状態から回転動作と一緒に膝を伸ばすトレーニングになります。注意点として、勢いよく行うので体幹のブレがないようにします。
図8 ランジ切り替え片足立ち
【大腿四頭筋1人ストレッチ『図9,10』/パートナーストレッチ『図11』】
図9、図10
図11
【関連動画】
図12 片足立ちの安定性(体幹トレーニングも含)
【まとめ】
どのフェーズも大腿四頭筋のみの安定性ではなく、臀筋やハムストリングス、体幹筋力が必要になってきます。
膝の安定性が崩れると、フォームが崩れたり、リリースポイントがズレたりします。こういったズレの繰り返しによって、肩や肘、腰などの故障が出てくる可能性がありますので、下半身のトレーニングやストレッチなどのコンディショニングも必要になります。
【参考文献・引用文献】
著 NACAジャパン ヒューマンパフォーマンスセンター 監修 福永哲夫
NSCAジャパン ストレングス&コンディショニング エクササイズバイブル