高齢者の転倒リスクを減らすために知っておくべきこと。
目次
1.要介護認定される高齢者の約12%は「骨折、転倒」が原因!
2.転倒リスクの原因には外因性リスクと内因性リスク、環境因子がある!!
①内因性リスク
②外因性リスク
③環境因子
3.転倒リスクを知る方法
①転倒予防ツール(FRI)
②結果○点以上は要注意!
4.まとめ

1.要介護認定される高齢者の約12%は「骨折、転倒」が原因!

人口の高齢化に伴い、介護を必要とする高齢者が増加する傾向にあります。要介護認定を受ける高齢者の数も増加の一途を辿っており、その原因疾患の中で多くを占めるのが、「転倒・骨折」です。高齢者の転倒事故は頭蓋内出血や骨折など重大な事故に繋がり、転倒を繰り返すたびに、日常生活動作の低下を招き悪循環の相乗効果をきたすという報告もされています。

2.転倒リスクの原因には外因性リスクと内因性リスク、環境因子がある!!

転倒リスク因子は内因性、外因性、環境因子の3つに大別されます。それぞれどのようなリスク因子なのか見ていきましょう。

内因性リスク

①筋力低下 ②転倒歴 ③歩行障害 ④バランス障害 ⑤歩行補助具の使用 ⑥視力障害 ⑦関節炎 ⑧ADL障害 ⑨抑うつ ⑩認知障害 ⑪80歳以上 と言われています。内因性の中でも、①筋力低下②転倒歴③歩行障害転倒との関連性が高いと言われています。

外因性リスク

外力薬の副作用などことを言います。
薬剤と転倒の関連を検討した解析では、抗うつ薬(1.5倍)、非定型抗精神病薬(1.7倍)、不整脈剤(2倍)、降圧利尿剤(1.2倍)の使用で転倒の危険性が増しています。
また、薬を5種類以上飲んでいる方は、2倍転倒率が高くなるとの報告もあります。

環境因子

暗い照明滑りやすい床浴室の環境不足 等のことを言います。
環境においては、「危ないからすぐに手すり設置や改修を行いましょう」というパターンが多いのですが、住宅改修をすぐ行うのではなく、「すべる」「つまずく」「おちる」が起こる可能性がいつ、どこであるのか、本当に必要か等を見極めて検討する必要があります。

これらの危険因子が複雑に相互的に作用することによって、転倒の危険性が劇的に増加するといわれています。
環境においても身体機能においても、まずは「何が問題か?」「転倒のリスクがある場所は?」など整理してみるのも良いかもしれません。

3.転倒リスクを知る方法

転倒しやすい高齢者をスクリーニングし転倒を未然に防ぐことが重要だと言えます。自記式回答方法による転倒予測ツールのFall Risk Index(FRI)も転倒リスクの危険度を知る上で有効だと言えます。

「"はい"がいくつ該当するのか」一度、チェックしてみてください。

・転倒予防ツール(FRI)

・結果○点以上は要注意!!

「はい」がついた項目の数があなたの点数となります。3点以下は転倒リスクがほとんどなく、10点以上だと転倒率は約30%となり、転倒予備軍となります。

また、10点以上ではなくても、チェックがついてしまったら要注意な項目を紹介したいと思います。

過去1年間で転んだことがある

過去1年間で転んだことがある方は、今後1年間で70%以上(10人に7人)が転倒する危険性があります。
まず、今までの転倒で①打撲ですんだ②骨折をした③頭をうった のどれに該当するのかチェックしましょう。
②、③に該当する場合、骨粗鬆症の検査や脳のCT検査を一度受けても良いかもしれません。

この頃つまずくことが多い

つまずくことがある方は、4倍以上転びやすくなります。どのような時に、つまずくのか以下の項目からチェックしてみましょう。

  • 家の中で、置いてあるものにつまずく
  • 気づかない段差につまずく
  • カーペットのヘリなどわずかな出っ張りや平地で爪先を取られる
  • くつのゴム底が引っかかりやすい

物忘れが気になる

物忘れは脳の病気です。認知症では2〜3倍転倒しやすくなります。
物忘れが気になったり、周囲から物忘れを指摘された際は以下の項目をチェックしてください。

  • 歩幅が狭い。時々前に突っ込むように歩く。
  • よろける。トボトボとしか歩けない。
  • 危険なところも構わず速く歩いていく。

4.まとめ

近年では、コロナウィルスの影響もあり、運動不足の高齢者が増えている傾向にあります。
運動不足は筋力低下を招き、転倒へのリスクを高めます。今回ご紹介した、FRIで自分は転倒予備軍なのか再認識し、自分にできること(運動、環境整備 等)から始めてみてはいかがでしょうか。

引用文献
・転倒予防手帳 厚生労働科学研究費補助金 長寿科学総合研究事業

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