“なかなか治らない四十肩、五十肩”安静にするだけで本当に治るの?
四十肩、五十肩とは、40〜50代を中心に発症し、肩の痛み、動かしづらさを主症状としています。一般的に、「放っておけば治る」とよく耳にしますが、事実、肩関節周囲の炎症が軽度であった場合、安静にすることでよくなることはあります。しかし、痛みを我慢したり、痛みがあるのに無理に使い続けた結果、”肩関節に制限が出たり””痛みが増強し眠れない”といった症状を引き起こすことも多々見られます。このように、制限が出てしまい肩の症状が改善しない状態を“拘縮肩”と呼びます。一度、拘縮肩になると“痛みの度合い”“肩の挙上制限の状態”にもよりますが、場合によってはリハビリをしっかりと行っても1年間以上治るまでに時間を要することも少なくありません。治療法は、注射やリハビリによって治す保存療法と手術療法に分けることができますが、今回は手術療法の対象、手術の方法、リハビリの期間等を一問一答形式で紹介したいと思います。
*保存療法が知りたい方は、宜野湾整形HPの肩関節拘縮(五十肩)までhttps://ginowanseikei.or.jp/frozenshoulder/
◯手術の対象は?
- 3ヶ月以上保存療法を継続しても満足度が得られない、改善が得られない症例
- 可動域制限の改善が見られない場合(リハビリを行っても挙上角度が120度未満で改善が見られにくい場合)
- 安静時および動作時の痛みや可動域制限が高度な場合。
◯手術の方法は?
・関節鏡視下関節授動術(関節包切離術)
難治性の肩関節拘縮に行われる手術です。拘縮の原因である、分厚くなった関節包を鏡視下に切り離し、関節包を拡大します。また、炎症を起こしている滑膜を切除し肩の可動域を拡大します。
◯手術時間は?
・約30〜45分程度です。
◯入院期間は?
・早ければ3日程度で、1週間前後が多いです。
◯手術後の固定期間は?
- 1〜3週間程度三角巾を装着します。
- 痛みが軽い場合は、1週間程度で三角巾を除去できます。
◯手術後のリハビリ期間は?
- 平均で週に2、3回を2、3ヶ月程度行います。しかし、既往に糖尿病や糖尿病や高脂血症、甲状腺疾患などの既往がある場合、時間がかかる傾向にあります。
◯仕事復帰やスポーツ復帰の時期は?
- 事務作業、デスクワーク程度であれば、退院後可能です。
- 力仕事、重労働、肩に負担がかかるスポーツは術後3ヶ月を目安としています。軽いジョギング等は1〜2ヶ月で可能です。
◯手術の合併症・副作用は?
- 術後にリハビリを行わないと、再び硬くなり再拘縮を起こすことがあります。
- 複合性局所疼痛症候群(CRPS)や肩手症候群が数%で起こることがあります。
◯入院・手術の費用は?
- 手術を行う病院や入院期間にもよりますが、3割負担で自己負担金は20〜30万円程度です。
- 所得にもよりますが、高額療養費制度を申請すると負担金の軽減が見込まれます。
肩関節拘縮への治療としては、まず保存療法が第一選択となっています。しかし、長く続く痛みや可動域制限に対しては、この上記のような手術も対象となります。以上のようなことでお困りの方は是非一度、相談してみることをお勧めいたします。
宜野湾整形外科医院 リハビリテーション科 福地