野球の怪我予防【セルフチェックで野球肩・野球肘を防ぐ】

野球の怪我予防【セルフチェックで野球肩・野球肘を防ぐ】

次のグラフをごらんください。

8,354人の少年野球選手を対象に行われた大規模なアンケート調査 『平成27年度少年野球 (軟式・硬式)実態調査 調査報告書』からの引用です。

 

「少年野球選手の部位別痛みの発生率」を表したものですが、

1位は、「肘」(35.9%)、2位は「肩」(21.2%)でした。

以下、

3位「足、足首」(12.0%)、4位「かかと」(10.8%)、5位「膝」(9.7)の順番となっています。

また次のグラフを見ると、約7割もの少年野球選手が肘の痛みを経験していることが分かります。

私たちも少年野球チームのメディカルチェックを行う際に痛みに関するアンケートをとっていますが、やはり「肘の痛み」がある選手(あるいは過去に肘の痛みがあった選手)は非常に多い印象です。

たとえ現在体のどこにも痛みがなくても、ケガを起こすリスクはどの選手にとっても大いにあります。

 

整形外科のお医者さんは、野球の肩・肘障害を予防するため、定期的なセルフチェックを毎週行うよう勧めています。しかしながら、実際に行っているのはごくわずか。76% の選手は「やっていない」と回答しています。そのあたり、まだまだ「障害予防」に対する意識の低さがうかがえるところですね。

あなたもきっとケガをしてしまう。

「自分はケガなんてしないから大丈夫!」

残念ですが、そんな考えを続けていると、将来的にきっとあなたもケガをしてしまうことになります・・・。

たった1回のケガをきっかけに、大好きな野球がキライになったり、やめざるを得ないという最悪な結果になってしまった選手を私はこれまで何人も見てきました。とくに成長期は骨が成熟していないので、その発達段階で生じる特有の障害があります。オスグッド・シュラッダー病や離断性骨軟骨炎(OCD)などが、その典型です。離断性骨軟骨炎(OCD)を発症すると、何ヶ月間も投球できない時期を過ごさなければいけません。

ケガによって野球をキライになる選手を増やさないためにも、定期的なチェックを行っていただきたいと思っています。

(離断性骨軟骨炎(OCD))

週に1度はやりましょう!肩・肘のセルフチェック【野球の怪我予防】

自分自身の体の状態を確認するために、週1回は以下の項目をチェックするようにしてください。

そして、痛みのセルフチェックで異常がある場合は、すぐに監督・指導者に知らせてください。もしくは、専門の整形外科を受診することをおすすめします。

ひじの可動域

左右の肘がしっかり伸びるか・曲がるか、左右差がないかを確認しましょう。

肘を押して痛いかどうかをみる

肘の内側、外側、後ろ側を押してみて、痛みがある場合は異常です。

次の図(圧痛点)の×印の部分をピンポイントで押さえて細かくチェックするようにしてください。

肩の痛みをみる

セルフインピンジメントテスト

ボールを投げる側の手を反対側の肩に置いたまま、肘を持ち上げます。痛みが出たら異常ありとみなします。

セルフHERT(Hyper External Rotation Test)

写真のように、ボールを投げる側の手でバットのグリップを持ち、反対側の手でバットのヘッドを引き上げます。肩に痛みが出たら異常ありです。

【引用文献】

  • 平成27年度 少年野球 (軟式・硬式)実態調査 調査報告書
  • 柏口新二ら/野球肘診療ハンドブック-肘の診断から治療、健診まで-/全日本病院出版会