【投球フォーム】身体全体で「しなり」を作って投げるために。

【投球フォーム】身体全体で「しなり」を作って投げるためにできること

解説&エクササイズ動画

まるでムチのように「しなり」のある投球フォームで投げられたボールは、力強く、キレがありますよね。本記事では、「しなり」のある投球フォームを手に入れるためのトレーニングやストレッチの方法を紹介します。

「しなり」を作って投げるために必要なこと

投球動作で身体全体の「しなり(最大外旋角度)」を作るためには、次の3つの部位の柔軟性を向上させることが必要です。

  1. 肩甲上腕関節(肩関節外旋)
  2. 肩甲胸郭関節(肩甲骨後傾・上方回旋)
  3. 脊椎、股関節(胸腰椎伸展、回旋、股関節伸展)

1.肩甲上腕関節(けんこうじょうわんかんせつ)における外旋可動域

2.肩甲胸郭関節(けんこうきょうかくかんせつ)における肩甲骨の後傾(こうけい)

肩甲骨の後傾

3.胸椎・腰椎・股関節の伸展

この3つの部位が柔軟にかつバランスよく動くことで「しなり」のあるフォームが作られるわけです。逆に、次の図の右側のように、例えば、肩甲胸郭関節の可動性が小さい場合は、十分な「しなり」が生まれず、良いボールが投げられなくなってしまいます。

(瀬戸口芳正ら 2010年)

ちなみに過去の研究報告によると、大学野球選手の投球時の肩関節最大外旋角度(しなり)は145°で、その内訳は、肩甲上腕関節外旋角度が107°肩甲骨後傾角度は23°胸椎伸展角度は10°でした。(宮下ら 2006年)

スローイングプレーン

(信原克也 2012)

投球腕の軌跡がなす面を「スローイングプレーン」と呼びます。

投球中、適切な肩関節外旋角度がとれていれば、正面から見ると、上腕の延長線上で肘が伸びていくのが分かります(シングルプレーン)。

シングルプレーン

一方、肩の外旋可動域が小さい場合は、上腕の軌道面と前腕の軌道面が一致せず、二重の円を描くような軌跡となります(ダブルプレーン)。

ダブルプレーン

ダブルプレーンで投げることは肩・肘を痛める原因となります

このダブルプレーンのように肩関節外旋角度が不十分だと、手と肘が上下二重の円を描くような軌跡となり、ボールの加速方向と肘が伸びる方向が一致せず、運動効率が悪くなります。この場合、肩や肘にかかる負担が大きくなり、肩・肘の障害を発生させる原因となり得ます。

ムチのような「しなり」を作るエクササイズ

以下では、ムチのように「しなった」投球フォームを作るのに役立つエクササイズをいくつか紹介します。

肩関節外旋を作るストレッチ(バットを使って)

胸椎伸展を作るエクササイズ

Cat and dog

ストレッチポールを使って

胸椎回旋を作るエクササイズ

四つ這い位で胸椎回旋

横向きから胸椎回旋

内転筋ストレッチを伴った胸椎伸展回旋

腰椎、股関節伸展を作るエクササイズ

腸腰筋ストレッチ

【右側の腸腰筋をストレッチする場合】
左足前、右足後ろのランジ姿勢から、右手を頭の後ろに置き胸を開いた姿勢から、体幹を左に倒し、右に回旋。

肩甲骨後傾・上方回旋のエクササイズ

肩甲骨後傾を促す僧帽筋下部線維のエクササイズ

肩甲骨上方回旋を促す前鋸筋エクササイズ(チューブを使って)

まとめ【投球フォーム】身体全体で「しなり」を作って投げる方法

「しなり」のある投球フォームを作るためには、肩甲骨を含めた胸郭や下半身の可動域を広げることがポイントです。身体全体の「しなり」を使って投げられるようになると、各関節の負担が減るため肩や肘にかかるストレスも減り、野球肩や野球肘などのケガ予防にもつながります。

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参考文献

  • 宮下浩二ら/投球動作の肩最大外旋位における肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節および胸椎の角度/日本臨床医学会誌・2006
  • 瀬戸口芳正ら/アスリートの反復性肩関節脱臼に対する後療法および再発予防スローイング アスリートの運動連鎖と前方不安定性/臨床スポーツ医学・2010
  • 菅谷啓之/肩と肘のスポーツ障害 診断と治療のテクニック/中外医学社・2012
  • 信原克也/「肩 その機能と臨床」/医学書院・2012