野球に必要な腱板筋〜棘上筋編〜

【はじめに】

今回は、投球をするには欠かせない棘上筋(腱板筋)について紹介していきたいと思います。

【棘上筋の付着部】

棘上筋とは、肩甲骨から上腕骨に付着する筋肉です

図1

 

【棘上筋の役割】

投球ではアーリーコッキング期で、外転という腕を挙げる際に作用する筋肉です(三角筋とともに作用する)

図2の赤枠の様に挙げた足が地面に接地し、投球側の腕が挙上していく最中で棘上筋の収縮が行われます。

棘上筋の筋力低下が起こると、腕の挙がりが悪くなるため結果的に「肘下がり」や「体の開きが早くなる」などの投球動作不良につながる恐れがあります。また、棘上筋は肩関節のインナーマッスルの一部で重要な役割を担っているため、筋出力低下が起こるとアウターマッスル(三角筋や僧帽筋、大胸筋など)とのバランスが悪くなり肩関節の痛みが生じてしまう可能性があります。

【棘上筋のトレーニング方法】

①チューブex⑴

『方法』

開始姿勢は、肘の上(上腕部分)と柱などにチューブを繋げ、手のひらを胸に当てます。10°~20°程、肘を斜め方向へ挙げ、図3の悪い姿勢のように肩が挙上しないように注意しながら行います。

②チューブex⑵ 親指上

『方法』

開始姿勢は、肘を完全に伸ばし、親指を上にした状態でチューブを投球側の手で把持し、非投球側の足で反対側を踏み固定します。図3と同様に体の斜め方向に肘を伸ばしながらチューブを20°~30°引き、図3の悪い姿勢のように、肩が挙上しない様に注意しながら行います。

③チューブex⑶ 小指上

『方法』

開始姿勢は、図4と同様に肘を伸ばした状態でセットします。図4と違うのは、小指を上にした状態で斜め方向にチューブを引きます。この際の挙上する角度も図4と同じです。

④チューブ⑷ アクセラレーション動作ex

『方法』

開始姿勢は、非投球側の足と投球側の手のひらにチューブを繋ぎます。

1段階目として、肘を両肩の延長線上に挙上します。この際、肘が下がらないように注意します。

1段階目の姿勢から、肘から先を頭の後ろ方向に捻ります。この際、肘が伸びたり、捻った際に肘が下がったりしないように注意しながら行います。

 

 

【棘上筋のストレッチ】

『方法』

図7のように、手を背骨もしくは反対側の肩甲骨を沿うように挙上し青矢印部分をストレッチさせます。多少、頚部のストレッチ感が存在します。

 

【まとめ】

・棘上筋を含むインナーマッスルは、肩関節を安定させるのに重要な役割を担っているため積極的にトレーニングを行う必要があります。

・棘上筋は投球動作に必要不可欠な筋肉であり、アウターマッスルである三角筋と協同して働くことにより十分な効果が得られます。

【参考文献】

1)文光堂 編集 山口光國 投球障害のリハビリテーションとリコンディショニング -リスクマネジメントに基づいたアプローチ 2010年 第二版

2)medicalview 監修 村木孝行 編集 甲斐義浩 shoulder joint 肩関節理学療法マネジメント 機能障害の原因を探るための臨床思考を紐解く 2019年 第一版

図1)イラストACから引用して編集