今回は少し難しいですが、肩関節拘縮、いわゆる五十肩について説明したいと思います。
肩の拘縮は一次性(いわゆる五十肩)と二次性(全身性、関連性、肩の局所性)に分けられます。
日本特有の表現である「五十肩」は厳密には一次性の拘縮と同義語です。しかし、現実には中高年に生じる肩の痛みや拘縮を包括して「五十肩」と表現することが多く、他科の医師、あるいは時に整形外科医までがその範疇を吟味することなく「五十肩」の名称を使用しているきらいがあり、除外診断としても使いにくい用語と言われています。
肩の専門医が使うときは、この一次性の拘縮を示すことが意味しています。
外傷歴や有痛弧(痛みの出る範囲)の既往はなく、病歴を詳細に聞き出してみると、運転席に座って後部座席のものを取ろうとした、あるいはシートベルトを取ろうとしたなど、動作をきっかけにして発症していることが多いと言われています。つまり、何らかの原因(minor trauma)が関与している可能性があります。
病期は一般に三つに分かれます。Freezing、frozen、thawing phaseの3つです。
Freezing phaseの期間は症例により異なります。1ないし2ヶ月のジクジクする自発痛や夜間痛を訴え、あるものは自発痛がなく、結髪や結帯のできないことから愁訴が始まります。
理学所見では、一般に筋萎縮は少なく、筋の緊張が低下していることが多いとされています。圧痛は肩全般(烏口突起の外側の腱板疎部、上腕二頭筋腱溝、後方の棘下筋の筋腹、quadrilateral space)に多く、腱板断裂に見られるような肩関節の側方(大結節)の圧痛は少ないと言われています。
治療法としては各時期に応じた保存的療法が基本であるが、これについては多くの解説があるので、症状、時期等を踏まえて治療、リハビリをすることが大切です。
引用文献;熊谷 純 肩関節の病態と治療—一次性拘縮について—
いかがでしたか?肩の調子がおかしいと感じた場合、上記のような症状がある場合は、早めに最寄りの整形外科を受診することをお勧めします。
宜野湾整形外科医院 リハビリテーション科 福地