肩が外れた場合(肩関節脱臼)の応急処置【整復、三角巾固定の仕方】
「脱臼」とは、「関節面の正常な相互の位置関係(適合性)が失われている状態」を言いますが、この記事では
「肩、脱臼しちゃったかも?」
という場面に遭遇した場合、どのような対処方法をとったらいいのかを紹介します。
肩の脱臼は、接触プレーの多いコンタクトスポーツでよく起こる外傷。ラグビーやアメフトのタックル、柔道の投げ技、野球のヘッドスライディングなどで、肩を下にして転倒した場合に起こります。
選手同士あるいは指導者も、肩の脱臼の際の処置方法を覚えておくとよいでしょう。
肩関節を脱臼したときの対処方法は下記の通り。
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この順序で早急に処置にあたってもらいたいと思います。
肩関節脱臼の応急処置の手順
再度、肩関節脱臼の応急処置の手順を示します。
- 鎖骨の損傷(骨折・脱臼)なのか肩関節脱臼なのかを判断する
- 出来るのであれば「整復」
- 三角巾で固定する
- 病院受診
以下に手順を説明していきます。
1.鎖骨の損傷(骨折・脱臼)なのか肩関節脱臼なのかを判断する
現場で肩を痛めてしまった場合、まずは
鎖骨(肩鎖関節)の損傷なのか?それとも肩関節脱臼なのか?を判断する必要があります。症状によって処置の方法が異なってくるからです。
対応を間違うと、骨折などの合併症を引き起こす可能性があるので要注意ですね。
鎖骨の損傷には、「鎖骨骨折」と「肩鎖関節脱臼」などがあります。
「鎖骨骨折」の場合
鎖骨の遠位端が浮き上がり、強い圧痛が見られます。皮膚の下に骨折端が触れられます。
鎖骨骨折の処置は、肘を90°に曲げて腕全体を三角巾で固定し、骨折部を氷などで冷やし、病院へ搬送しましょう。鎖骨バンド固定または手術になります。(三角巾の固定方法は下に画像を載せています) |
「肩鎖関節脱臼」の場合
鎖骨骨折ほど痛みはありませんが、肩鎖関節部分に圧痛があります。鎖骨遠位端の突出と変形が見られます。
肩鎖関節脱臼の処置は、90°に曲げた肘を上に押し上げ、鎖骨の端を上方から圧迫しテーピングをして、三角巾で固定します。 |
「肩関節脱臼」の場合
肩の変形、三角筋の丸みが消えて凹んで見えます。腕を少しでも動かそうとすると、肩を異常に痛がります。 痛みのためにショック状態になっている場合もありますので、全身状態をチェックすることも大切です。 |
2.出来るのであれば「整復」。でも素人にはおすすめできません。
肩関節が脱臼していると判断し、ドクターやトレーナーが近くにいれば、その場で整復を試みてもらってください。
整復ができる専門家がいない場合はむやみやたらに整復を行わず、早急に近くの整形外科を受診し、整復してもらうようにしましょう。整復が困難になると神経麻痺を起こすこともあるので早めの対応が肝心です。
整復の方法はYouTubeなどの動画から探すと見つかりますが、リスクを伴うので素人が行うのはあまりおすすめしていません。
3.三角巾で固定する
三角巾の固定方法は、以下の動画を参考に行ってください。
三角巾で固定するときのポイントは
- 上肢を体幹にしっかりと固定すること。
- ひじを90°に曲げること
- 両肩の高さをそろえること
三角巾がない場合は、スカーフやポリ袋などでも代用する方法もあります。
( 参考:ポリ袋で三角巾をつくろう(NHK))
4.病院受診
三角巾またはその他のモノで代用して固定できたら、近くの整形外科をすぐに受診してください。早めに処置をすることが、その後の治療やリハビリをスムーズにすすめるポイントになります。
スポーツの試合で遠征などに行く場合は、現地の近くに整形外科があるかどうかをあらかじめ確認しておくことも大切です。
【まとめ】肩関節脱臼の応急処置の手順
近くで肩関節を脱臼している人がいたときは、以下の手順で速やかに対応してくださいね。
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