野球をしていて、投球動作中や試合の翌日に肩の後方が痛くなったことはありませんか?
今回は、野球肩の中でも、後方の痛みインターナルインピンジメント(PSI)の病態や原因、テスト方法について説明していきたいと思います。
まず始めに、投球動作では(ワインドアップ期~フォロースルー期)までのフェーズがあり、それぞれのフェーズにより、(前方の痛み、後方の痛み、力が入りにくい、思いっきり腕を振って投げれない)など肩関節への負担がかかる箇所が異なってきます。
インターナルインピンジメントPSI(後上方インピンジメント)とは?
インターナルインピンジメントは、投球動作の(レイトコッキング期)に、起こると言われています。
では、レイトコッキング期に、実際、肩関節はどうなっているのか?
簡単に説明したいと思います。
※肩関節の最大外転、外旋位により、肩後方部で後方関節唇と腱板がインピンジメントを起こします。
次に、何でインピンジメントがおこるのか?
原因を説明したいと思います。
原因
- 肩甲骨に対しての上腕骨の求心位がとれていない
- 腱板機能低下(インナーマッスル)棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋
- 肩甲骨が上手く動かせていない(肩甲骨可動性低下)
- 胸が上手くはれていない(胸椎の伸展不足)
- 体幹筋の柔軟性低下
- 下肢の柔軟性低下などが挙げられます。
※投球動作は、下肢から始まり、上肢への運動連鎖で行われています。
そのため、下肢の柔軟性低下、体幹の柔軟性低下によって肩関節に負担がかかり痛みが発生します。
その他にも、不良な投球フォームや投球過多(オーバーユース)など原因はさまざまあります。
インターナルインピンジメントのテスト方法とセルフチェック
肩峰下インピンジメントのテストでは、Hawkinsテスト、Neerテストが特徴的ですが、インターナルインピンジメントでは、
HERT(Hyper External Rotation Test)と呼ばれるテスト法があります。その他に、セルフチェックもあります。
HERT (肩関節90°外転から外旋位)レイトコッキング期での肩の痛みを再現します。
肩関節を過度に後方へ回したとき(過外旋)に痛みが出るかを調べます。痛みがあると、異常とします。
セルフチェック HERT(肩関節外旋)
右利きの場合
- 右手でバットを握り肩の後ろに持ちます。
- 左手でバットのヘッドを持ちます。
- 左手のヘッドの部分を上に引き、肩を外旋させ肩の後方にストレスをかけます。
※HERT同様に、肩関節の後方に痛みがあるかチェックします。
※野球選手に対して、体幹、下肢の柔軟性や肩甲骨の可動性、腱板機能を向上させるわけとしては、肩関節への負担を軽減させるためです。
野球肩についてはこちらの記事もご覧ください>【野球肩の治療】治る期間に数週間〜数ヶ月かかる場合もあります
宜野湾整形外科医院 リハビリテーション科 理学療法士 伊藝孝太