腰痛について

“腰痛症”という言葉をよく耳にしますが、“歳のせい”“重たいものを持ったから”と簡単に考えていませんか?

腰痛は器質的な障害(身体)から心因性要素(心)まで様々な原因が重なり合って引き起こされるため、病態を正確に把握するのは難しいと言われています。

最近では、You tubeで独自の運動療法で“必ず良くなる”と提唱していますが、現在まで“必ず良くなる”という運動療法は確立されていません。逆に、運動を行い痛くなったと相談に来る方も少なくありません。

そのようなことがないように、今回は腰痛についてまとめたので報告させていただきます。

《腰痛》

腰痛の原因は脊椎由来、神経由来、内臓由来、血管由来、心因性の5つに大別されると言われています。腰痛患者を診察する際に最も重要なことは、重篤な特異的腰痛症患者(red flags)を見逃さないことと言われています。Red flagsには腫瘍(原発性・転移性脊椎腫瘍)、感染(化膿性脊椎炎、脊椎カリエスなど)、外傷(椎体骨折)などが含まれます。そのため、問診が非常に大切であり、がん、結核の既往歴、転倒などの機転、体動時の腰痛なのか安静時にも疼痛があるかなどの症状を把握することが大切です。これらの疾患が原因の腰痛は原則として腰痛症とは呼称せず、あくまで筋・骨格・神経系などの部位に生じる退行性病変が主体となって腰痛を発症する場合を腰痛症と総称しています。

《治療》

腰痛治療の第一選択は、保存療法と言われています。基本は安静になります。しかし、安静にすることだけが、疼痛が強い時に必ずしも有効な治療法とは言えません。急性腰痛に対し痛みに応じた活動の維持はベッド上安静よりも疼痛を軽減し、機能回復させるのに有効と言われています。 

《保存的治療》

保存的治療は、温熱療法や牽引療法などの理学療法、運動療法、患者教育、認知行動療法、注射療法、代替療法などがあります。

エビデンス:レベル別

温熱療法:急性及び亜急性腰痛に対して短期的に有効である(Grade B

牽引療法:腰痛に対して有効であるというエビデンスが不足(Grade I

運動療法:急性腰痛—4週間未満 (Grade B

         慢性腰痛—3ヶ月以上 (Grade A

  • 運動療法は一般的に週1〜3回行うことが推奨されています。

 

引用文献:信藤 真理ら 整形外科の腰痛症の診療 臨床と研究・91巻11号

専門的な用語も入っているため、難しかったのではないでしょうか?日本人において、腰痛を主訴とする患者は極めて多く、男性は1位、女性は2位と言われています。腰痛に長い間、悩まされている方はしっかりと診察を受け原因を突き止めることが大切です。お困りの方は一度最寄りのクリニックや病院への受診をお勧めいたします。

宜野湾整形外科医院 リハビリテーション科 福地