野球肩とは投球動作を起因とした肩関節の痛みや引っ掛かり感、違和感などを主症状とする肩関節疾患の総称であり、その病態も様々です。原因として投球過多、体幹や股関節の柔軟性低下、肩や肩甲帯の筋力不足など肩だけでなく全身的な要素が関与しますが、非効率的な投球動作が原因となり引き起こされることが多いと言われています。今回野球肩が悪化するやってはいけない投球動作を紹介していきます。投げる瞬間に痛み・違和感が出現する方は是非確認してみて下さい。

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野球肩について

代表的な投球フォーム不良例

①肘下がり

上腕骨軸が肩甲棘と一致するZero-position(図1)では肩関節周囲筋のバランスが取れて肩関節が最も安定しています。肘下がりはZero-positionよりも上腕骨軸が下がっている現象(図2)です。その状態で投球動作を繰り返すことにより、肩関節に負担がかかるためSLAP損傷や腱板損傷などの肩関節障害の要因になります。さらに、“しなり”が作れず内旋投げになり肘の内側障害が生じてしまいます。また、体幹からのエネルギーが上肢に伝達されずパフォーマンスが低下するとも言われています。

 

②肘の挙げ過ぎ

 Zero-positionよりも上腕骨頭が上方にぶれた状態です。(図3)肘を挙げる意識や肘を前に抜く意識が強い場合に生じます。この状態だと体幹からのエネルギーが効率よく上肢に伝達されず、パフォーマンスが低下します。

③体の早い開き

前の足が着地した時点で骨盤や体幹が早く前方回旋する状態(図4)であり、この場合、伝達されるエネルギーの低下を招きます。また、体が早く開くことにより上肢の準備が間に合わず肘下がりや内旋投げなどの手投げを生じてしまいます。

④手投げ

下半身や体幹の柔軟性低下・コンディショニング不良、下肢・体幹の使い方に問題がある場合、適切なトップポジションが作れない場合のほか、力んだ場合にも生じます。この状態で投球動作を繰り返すと投球側の肩・肘のオーバーユースや過負荷を招きます。

⑤内旋投げ

肩の内旋動作を主体とする投げ方です。(図5)体の早い開きや肘下がり、コントロールを重視するために体を早く開いて球を置きに行く場合に見られます。内旋投げでは肩や肘へのストレスが増大します。

⑥肩の水平過伸展

前の足が着地した時点で肩関節の水平過伸展(腕を90°外に開いた状態から後ろに引き過ぎていること図67参照)を生じる状態です。体の早い開きや骨盤や体幹が後傾するために肘を後に引いてバランスを取る場合、腕を大きく振る意識が強すぎて過剰に肘を後ろに引き込む場合に生じます。また胸椎・胸郭・胸筋群の柔軟性が低下している場合にも水平過伸展がおこります。水平過伸展があると肩関節に負担がかかりやすくなります。

⑦ボールの握り方に起因する投球フォーム不良

ボールの握りが投球フォームに影響することも報告されています。正しいボールの握り方は母指尺側握り(図8)です。それに対して不良な握り方は母指指腹握り(図9)であり、野球経験の浅い小学生に多く見られ、肘下がりを誘発します。このボールの握り方を矯正する事で肘下がりが改善するとの報告もあります。

野球肩に対する投球フォームのチェック方法

投球動作は瞬発的な運動であるため肉眼で観察することは難しいとされています。そのためスマートフォンやカメラで撮影し、チェックする方法をお勧めします。

まとめ

今回、野球肩の不良なフォームの例を挙げてみました。人それぞれの投球フォームはあっていいと思いますが、最低限の基本動作を守っていき怪我なく楽しんでプレーする事を望んでいます。

《画像引用》肩と肘のスポーツ障害 診断と治療のテクニック

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宜野湾整形外科 島袋 花音